つけ麺元祖大勝軒 山岸さん死去
おめはラーメンは好きだげっと、つけ麺ってどうなのや?おいは東京に来てがらつけ麺っていうのを知って、最初こそ「なんでラーメンをつけダレで食わねげねんだい」って思ってとっつきは悪がったんだげっと、ある時からハマッてな。つけ麺しか食わねがったり、つけ麺のいいところを探しまわった時もあったんだよ。そんな事をしてると避けて通れないのが東池袋大勝軒なんだよな。つけ麺生みの親である山岸さんの店なんだげっと、最初は中野に店があって、その後池袋に移ってんだわ。で、おいは中野も池袋も随分と通ったもんだよ。
つけ麺は、ラーメンと違って麺のうまさがダイレクトにくるがら、麺を噛んだときに小麦の香りが漂うのがいいところ。そうめんは細さの舌触りを楽しむのに対して、つけ麺は麺の香りと歯ざわりを楽しみたいがら、おいは中太麺が好み。太すぎると、今度はつゆの絡み具合で物足りなさがでるがらな。
そしてなんでだがしゃねげっと、ラーメンなら腹いっぱいになるところが、つけ麺だと余計に麺が胃に入る。だがら、普通のラーメンの量でつけ麺をやってるところは敬遠したいな。麺だけをつるっと入るだけ胃に入れたい。そいな欲求が生まれるのもつけ麺の不思議なところ。
だから、良質な麺をたくさん盛ってくれる店がいい。そして麺のつるっとしてもっちりな食感と、小麦の香りのよさが条件だな。流行の辛口ダレだ、ゆずダレだ、極太チャーシューだエビだ。そんなごまかしは不要。むしろそんな店ははなからダメ。麺とツユ、ねぎとメンマで真っ向勝負してる店が好きだな。そんな欲求を満たしてくれる少ないつけ麺屋が東池袋大勝軒だったんだわ。数年前までは店頭で客寄せパンダっていったら言葉が悪いげっと、外に座って笑顔で対応してけでやのが山岸さん。すでに手と足を悪くしてだみでで、厨房には立ってねがったのや。その時に見せてもらったんだげっと、麺をあげる網を握り続けた人生だったがら、手がその網をもった格好で固まってしまってんの。壮絶な職人魂だどな。
風の谷大勝軒があったなら、ナウシカは「働き者のきれいな手だ」って褒めだんでねーがな。
あまりにのれん分けをしすぎて、いまは大勝軒ってどごさでもあっけっと、やっぱり東池袋は違うんだわ。これからもあの味を守り続けていって欲しい。
ちなみにここまでずーっとつけ麺って言ってきたげっと、大勝軒ではあくまで「もりそば」だっていうのは、一応付け加えておぐわ。
山岸さんのご冥福をお祈りします。
Itoko